【書評】やさしいJava オブジェクト指向編

やさしいJava オブジェクト指向編 [高橋麻奈 著]の書評です。

結論から言うと、Java入門者にやさしいオブジェクト指向の指南書です。

なお、この本は、やさしいJava 第5版 の応用本にあたる解説書なので、Java初心者は、まずはこちらを読むことをお勧めします。

■  良い点
・ 基礎から応用まで丁寧な解説
・ アプリを発展させながら学習できる
・ デザインパターンを10個ほど学べる
・ ケーススタディとしても使える
・ UMLも自然と身につく

■ 悪い点
・ 所々、若干、難しめな箇所がある

■ 総評

本書、「やさしいJava オブジェクト指向編」は、「やさしいJava」の姉妹書です。「やさしいJava」で学習したサンプルコードが所々で使用されるので、学習前にこちらを一通り読んでおくと良いでしょう。

本書の前半は、クラス、関係、継承、委譲といったオブジェクト指向の基礎を学習します。後半は、一種のケーススタディとして、ドローアプリケーション(お絵かきアプリ)等を作成しながら、設計やデザインパターンを絡めて解説が進みます。

解説で使われるコードは、基本的なコードを、少しずつ拡張しながら繰り返し使用するので、無理なくコードが頭に入ってきます。

なお、本書で扱われているデザインパターンは、以下のものです。

Adapter
Bridge
Builder
Decorator
Facade
Mediator
Observer
TemplateMethod
Visitor

オブジェクト指向の学習の取っ掛かりとして、また、デザインパターンの入り口としてお勧めの一冊です。また、読了後も繰り返し読みたくなる本です。

やさしいJava オブジェクト指向編 (やさしいシリーズ)

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【書評】ゼロからわかるオブジェクト指向超入門

ゼロからわかる オブジェクト指向超入門 [河合昭男 著]の書評です。

結論から言うと、タイトルそのままの、オブジェクト指向の「超」入門書です。短時間でオブジェクト指向の基礎を学習できます。クラスとオブジェクトの知識が少しだけでも有る人なら1日あれば読了できて基礎を身に付けられます。

■ 良い点
・ 基礎の基礎から学べる
・ UMLの基礎の解説も有り
・ サンプルコードが簡潔でわかりやすい
・ インターフェイスの解説が良い

■ 悪い点
・ 本文の助詞「を」等の使い方に若干違和感

■ 総評

内容的には、本当に基礎のところからオブジェクト指向を解説しています。言語はJavaですが、他の言語しか知らなくても何とかなりそうです。

前半はオブジェクト指向全般とUMLについて、後半はクラスや関連、カプセル化、継承、多態性、抽象クラス、インターフェイス等となっています。

前半部分は、自分的には、少し分かりづらかったかも。いわゆる、世のすべての「もの」はオブジェクトであるという解説の仕方です。人も犬もオブジェクトだよという感じの解説。その後のUMLの部分は、逆に分かりやすい。初めてUMLの用語と図を見ましたがすんなり理解できました。

後半部分は、読みやすく解説も分かりやすいです。後半になればなるほど、分かりやすく感じる本でした。カプセル化と継承あたりもだいぶ分かりやすいですが、その後の多態性、インターフェイス等の説明は秀逸です。ここら辺で理解につまづく人なら是非お勧めです。

もっとも、オブジェクト指向の「超入門」の解説なので、デザインパターンまでは扱われていません。

本の体裁自体は、大型本で読みやすく、ページ数は200ページほどと苦にならない量です。ゼロがらオブジェクト指向プログラミングを始めたい人にお勧めの一冊。

ゼロからわかる オブジェクト指向超入門

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【書評】やさしいJava第5版[高橋麻奈 著]

やさしいJava 第5版 [高橋麻奈 著] の書評です。

普段はPHPばかり使っているのですが、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の理解を深めたいと思い、Javaの基礎を学習するためにこの「やさしいJava」を読んでみました。

結論から言うと、とても読みやすくポイントを押さえながら短時間で読み終えることができました。「やさしいJava」は文法メインの本ですが、オブジェクト指向の前段階の基礎のための学習としては、むしろありがたい書籍です。個人的に満足な一冊。

■ 良い点
・ 初心者にもわかりやすい解説
・ 図表がわかりやすい。
・ コード全体が表示されており部分的に省略されない
・ コードの実行結果がきちんと表示されている
・ サンプルコードが一貫している
・ 書籍の体裁自体も読みやすい

■ 悪い点
・ 特にないがこの本だけでJavaアプリを作れる訳ではない

■ 総評

Javaの文法書として、また、オブジェクト指向プログラミングの前提学習書として、よく出来ている書籍です。

本の前半では、変数や制御構文、配列など基礎事項を学びます。後半では、クラスとオブジェクトの扱いを学習します。

前半は、かなり易しいですが、後半のクラスからは、前提知識がないと少し難しく感じるかも。いわゆる車クラスを作ってフィールド、メソッド、そして拡張を解説するような感じですが、なぜこうした処理をするのかという理由付けがもう少しあるといいような気もします。

もっとも、別冊で、やさしいJava オブジェクト指向編 という書籍がでているので、OOPの深いところはこちらで学習するのが良さそうです。

また、この「やさしいJava」は文法書であるため、この一冊で、アプリが作れるというものではありません。別冊で、やさしいJava 活用編 第4版 という書籍が出ているのでアプリの制作はこちらで学習するのが良さそうです。

なにはともあれ、Javaの基礎学習としては、満足できる一冊でした。よくまとまっているし、ポイントも明確で分かりやすかったです。

以上です。

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【書評】スラスラわかるPHP

スラスラわかるPHP [志田 仁美 著] の書評です。

結論から言うと、「スラスラわかるPHP」は、著者の熱意のこもった密度の濃いPHP入門書です。知識0から中級レベルに導いてくれる良書といえます。

■ 良い点
・ 入門レベルから丁寧に解説
・ 文章が女性的で読みやすい
・ 説明が詳しく細かくて丁寧
・ SNSアプリを作りながら各種機能を学べる
・ 本の体裁もよくブルーの2色刷りで読みやすい

■ 悪い点
・ 若干、前置きが長い気も

■ 総評

コンパクトにまとまっていながら密度の濃い一冊です。

水泳に例えるなら、バタ足から個人メドレーまで取り組めるような入門書。

前半は、データ型、変数、制御構文、配列、関数等の文法を全くの初心者を想定して丁寧に解説。後半は、架空のサークルを想定して、具体的に、各種機能を実装したSNSアプリを作成していきます。

なお、本書の最初では、開発環境の構築としてXAMPPの説明が詳しくされており、初心者でもPHPを実際に動かしながら学習することが可能です。

内容的には、前半の文法部分は、初心者向けの易しい内容となっています。だいぶ噛み砕いており、説明も詳しいので理解しやすいと思います。

後半からは実際に、Webアプリを設計し実装していくのですが、入門者には、少し難しい内容になっているかもしれません。

具体的には、画像アップロードシステム、データベースを使った掲示板、ログイン機構等を作成していきます。

逆に考えれば、盛りだくさんの内容でかなりお得です。わからなくても、繰り返し読むことにより、あるいは、他の入門書と併用しながら学習すると中級レベルまで短期にステップアップすることが可能といえそうです。

本書では、データベース接続にはPDOを利用しており、最後の方では、オブジェクト指向についても、わかりやすく説明されています。また、セキュリティについても、XSS、SQLインジェクション、CSRF、セッションハイジャック等について触れられています。その他、中級者にも役立つ知識が結構出てきます。

個人的には、データベースを扱うところで、もう少し詳しくSQLのCRUDについて解説があればいいのになと思いましたが、紙面の都合もあるので、そこは仕方ないかもしれません。

全くの入門者なら、文法部分とWebアプリの理解できるところまで進んで、その後は他の入門書と併用して学習するのをお勧めします。

ある程度、PHPを学習している人なら、PDOの扱いやログイン機構、オブジェクト指向の要点のまとめに読むことをお勧めします。

以上です。

スラスラわかるPHP (Beginner’s Best Guide to Programmin)

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【書評】リーダブルコード [Dustin Boswell 著]

リーダブルコード Dustin Boswell 著 角征典 訳 の書評です。

結論から言うと、この「リーダブルコード」は、プログラミング言語を問わない、とても良いコーディング指南書です。プログラミング初心者を脱して、中級レベルにさしかかった時点で読むと、とても効果的と思われる一冊です。

■ 良い点

・ 良いコードの定義と理由そして具体例に説得力がある
・ 本書自体がとても読みやすく、また翻訳も良い
・ 形式面–内容面–再構築と実践しやすい章立てになっている
・ 章末に要点がまとめられている
・ プログラミング言語を問わない解説
・ 挿入されているイラストやマンガが秀逸
・ 短時間で読破できる

■ 悪い点

・ 特にないが、簡単なサンプルながら多言語を扱うので少し戸惑うかも

■ 総評

冒頭でも述べましたが、とてもよく出来たコーディング指南書です。とりたてて小難しいことをとやかく言うのではなく、簡単なことから順に、提案するかのように、よりよいコーディングの方法を教えてくれます。

簡単に出来る形式の整え方や役立つコメントの書き方(第1部)、より良い制御構造のロジック(第2部)、そして、コードの再構築(第3部)などを扱ってます。後半は段々と難しくなりますが、読めるところまででも読むと、コーディングのマナーとセンスが向上します。

最後の第4部では、実践として、よりよいテストコードの書き方を扱います。また、具体的な設計・実装として、サーバーの転送バイト数を把握するための「分・時間カウンター」を作成します。ここは、C++にて実装するので、少し難しめですが、前の章までを理解していれば、言語を知らなくても何をしているのか良く分かります。

この「リーダブルコード」は、サンプルが比較的簡単なので、PHPやJavaScriptのみしか知らなくてもそこそこ読みこなせます。脱プログラミング初心者を意識した時に読むと、成長が実感できる一冊です。

リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)

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