新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ) の書評です。
結論から言うと、(国語的な)論理学の演習本としてお勧めの一冊です。
■ 良い点
・ 文章を論理的に読み解く力がつく
・ 論証や演繹について問題を解きながら学習できる
・ 問題を解きながら学習するため理解が深まる
・ 論文の書き方が参考になる
・ 読みやすく分かりやすい
■ 悪い点
・ 章末の課題問題に答えがない
・ 注が巻末にあり通読しづらい
■ 総評
野矢茂樹氏による論理トレーニング本です。
前半は、国語的なテーマである接続関係に重点が置かれ、後半は、論理的なテーマである論証や演繹などに重点が置かれています。最後の編では、論文の書き方にも触れられているので、小論文や論文を書く人にとっても参考になると思います。なお、記号論理学は扱われていません。
本書は、トレーニング本であることから、問題に解答することにより論理的な力がつくような構成になっています。ですから、紙とペンを用意して、じっくりと時間をかけ、よく考えて解答していくとより効果的だと思います。
ただ、元々が教科書として作成された本であるため、章末の課題問題には解答が付いていないのが残念です(全体の5%ほどですけど)。
ところで、野矢氏の論理学関連の本で有名なものは主に4冊ありますが、お勧めの読む順番は次のとおりです。
新書で薄く読みやすいので、論理学の入門にお勧めです。
2. 論理学
論理学についてより深くインプットの学習をします。思ったよりも易しいです。
3. 論理トレーニング101題
論理学で学習したことのアウトプットとしてトレーニングします。
さらに、アウトプットとして論理の力をつけるためのトレーニング。
これら4冊を繰り返し読み、学習すれば、論理的な力が十分に身につくと思います。なお、1,3,2,4の順、あるいは、1,3,4,2の順で読むのもいいかもしれません。どの本も読者の立場に立ち、読みやすく易しく著されているので、興味のある本から読むのもいいでしょう。
以上です。