パーフェクトPHP(技術評論社)の書評です。
良い点
- 基礎をプロの視点で掘り下げて解説
- あやふやになりがちな点をきちんと説明
- セキュリティの章が秀逸
- 上質紙を使っている
悪い点
- 誤字脱字が所々に散見される
- 白黒の一色刷り
総評
この『パーフェクトPHP』は、PHP中級者以上、もしくは、他言語既習者を読者として想定しています。“はじめに”として、その旨が明記されています。
構成は、パート1~6(全14章)と付録で構成されています。
ぜひ読んでおきたいのが、パート4のセキュリティの部分です。約90ページほどかけて、WEBアプリケーションのセキュリティについて解説しています。
このセキュリティのパートは、他のPHP本と比べても特に秀逸な出来になっています。
『説明』→『脆弱性のコード例』→『対応方法』と、良くまとまっています。典型的な16ほどの攻撃パターンを丁寧にわかりやすく解説しています。
パート2では、140ページほどかけて、基礎的な文法を、中級レベルの視点で解説しています。あやふやな点を明確にして、コーディングの質を高めるプロの姿勢が感じられます。
最後のパート6では、100ページほどかけて、PHPのリファレンス的な内容になっています。
この本の肝となるパート3では、実践的なWEBアプリケーションの作成(ミニブログ)に取り組みます。
ここでは、この本独自のフレームワークを使った開発手法が取られています。フレームワークの本質を学びたい人には、役立つパートだと思います。
ただ、いわゆるレガシーな昔ながらの手法で手一杯な人には、このパートはハードルが高くなります。
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(補足)
この本の肝は、基礎の解説、フレームワークの解説、セキュリティの解説の3つにあると思います。
基礎とセキュリティは、レガシーコード志向にも役立ちますが、フレームワークについては、敷居が高くなってしまいます。興味はあるのですが。
フレームワークを使った開発は、JavaやRoRなどでの開発経験がないと厳しいのかもしれません。
PHPでは、フレームワークが乱立している状態で、標準が無いのが、学習意欲を減退させているようにも思います。
フレームワークを学ぶなら、Rubyを一から習得してRailsを学ぶ方が学習コストが少ないのかもと思ったりもします。
実際、個人で簡単なPHPスクリプトを組むだけならフレームワークはいらないのですが、やはり、プロとして働く人にはフレームワークの習得は必須なのでしょう。