オブジェクト指向でなぜつくるのか 第2版 [平澤 章 著]の書評です。
結論から言うと、オブジェクト指向が使われることになった歴史的推移を考察し、オブジェクト指向の必然性と必要性を紐解く一冊です。また、オブジェクト指向全般にわたる周辺知識も多く紹介されています。
■ 良い点
・ オブジェクト指向が使われることになった歴史的背景がわかる
・ オブジェクト指向の周辺知識が簡潔に紹介されている
・ オブジェクト指向の理解が深まる
・ プログラミングの歴史的発展の推移がわかる
■ 悪い点
・ あえて言えば、具体的な細かな手法は紹介されておらず概略にとどまる
■ 総評
クラスやオブジェクトの文法は学習したが、なぜオブジェクト指向で作らなければならないか疑問に思う人に向けて書かれた一冊です。
前半では、オブジェクト指向が使われるようになった歴史的推移を解説し、オブジェクト指向の三大要素(クラス化、ポリモーフィズム、継承)についてそのもつ意味を解説しています。
後半では、オブジェクト指向の周辺知識について、一通り網羅的に紹介がなされます。デザインパターンやUML、そして開発手法などです。
最後には、第二版の付録として、関数型言語Haskellの解説がなされています。
この本の肝は、従来の構造化プログラミングの問題点を克服するため、オブジェクト指向が採用されることになった原因や契機を丁寧に解説しているところにあると思います。グローバル変数が悪である理由やモジュールの再利用化等を知ればオブジェクト指向の必然性を理解することが出来ます。
ただし、後半のオブジェクト指向の周辺知識については、おおまかな紹介と解説にとどめられています。そのため、詳細や細部は自分で別に学習する必要があります。
オブジェクト指向を学習し始めた頃に読むと、理解が深まり、知識が広がる一冊です。
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