スクラム実践入門 ── 成果を生み出すアジャイルな開発プロセス の書評です。
結論から言うと、『スクラム』の理論とその適用事例を短時間で学習できる一冊です。
■ 良い点
・ スクラムの概要と理論がコンパクトにまとまっている
・ 大手企業の具体的導入事例を参考にできる
・ よくある問題とその解決策が示されている
・ 目次が詳細である
■ 悪い点
・ 後の解説項目が先にくる箇所が多い
・ カタカナ語が多い
■ 総評
スクラムというアジャイルな開発手法が初めての人でも、スクラムの概要がよくわかる、210ページほどのコンパクトな書籍です。
主に、前半はスクラムの理論を解説し、後半は具体的事例となっています。理論だけでなく、実際の適用例(DeNA、GMOペパボ、mixiなど)について、問題点とその解決策を併せて紹介しているので、とても参考になります。
開発者はもちろん、プロジェクト・マネージャーなどが読むと特に役立つと思います。
ただ、本書は6人の共著であること、加えて、最初の1章から3章が、雑誌の特集からもってきていることから、若干、構成がいまいちとなっています。どういうことかと言うと、後で解説される項目が、「○章で詳述します」としながら先に来てしまう箇所が14箇所ほどあるのです。この点は、マイナス点です。もっとも、一通り読み終わった後、再度、最初の理論の部分から読み直すことでカバーできます。よく言えば、読み直すことで理解が深まります。あと欲を言えばXPとの詳しい対比があると良かったかなと思います。
プロジェクトが上手く回らない開発現場で悩んでいる開発者やプロジェクト・マネージャーは、本書を読むと良い解決策が見つかるかもしれません。