PHPによるデザインパターン入門 [下岡 秀幸 著]の書評です。
結論から言うと、PHPを用いて、デザインパターンを詳しく丁寧に解説した貴重な一冊。
■ 良い点
・ GoFの23パターンをすべて詳細に解説
・ PHP用にサンプルがカスタマイズされている
・ UMLに対応
・ PHP5.2に対応している
・ 構成が一貫している
・ オブジェクト指向プログラミング力が向上する
■ 悪い点
・ 誤字が多い
■ 総評
PHP言語でデザインパターンを解説している貴重な一冊です。Javaによるデザインパターン本は比較的多いのですが、PHPではこの本くらいしか見当たりません。
出版年は2006年と古いものの、PHP5.2には対応しており、内容的にそれほど古さを感じさせないものとなっています。そのため、現在でも、十分通用すると思います。
内容的には、GoFの23パターンすべてを詳細に解説しており、本書を一通り読めば、デザインパターンの理解が深まります。また、サンプルコードを通して学習することで、オブジェクト指向プログラミングそのものの理解も深まります。OOPに興味が有るPHPerなら是非とも読んでおきたい書籍です。UMLの簡易説明もあるので、無理なく学習できると思います。
個人的には、結城本では理解できなかったインタープリター・パターンを理解できたのが良かったです。
もっとも、完全なオブジェクト指向言語であるJavaによるデザインパターンとは異なり、若干、PHPならではの修正がある部分もあります。PHPでは、型がゆるいので仕方ないのですが。
本書の難点を一つだけ言うならば、誤字が多いことです。ところどころで間違いがあります。文脈から誤りは分かるので、自分で修正しながら読めばいいのですが、この点はやはりマイナスポイントです。